お墓を建て、維持と管理をしていくために必要な費用は、基本的に次の3つがあります。
・永代使用料
お墓を建てるには、墓地用地を永代にわたって使用する「使用権」を霊園や寺院から購入する必要があります。永代使用料は、その権利を買うための費用です。所有権ではないため注意しましょう。
・管理料
管理料とは、管理棟の整備や墓地内の清掃、植栽の手入れ、墓地の水道代など、お墓周りの環境を維持・管理するための費用です。毎年決まった額を支払うか、2~3年ごとにまとめて支払うことが一般的です。
・墓石代
墓石代とは、お墓本体を構成する竿石(一番上に設置された目印となる石)、カロート(ご遺骨を置く納骨室)、花立、香炉、外柵などの費用のほか、工事費が含まれます。
近年は、お墓の種類が増えたことで、お墓にかかる費用に差が生まれました。墓石がプレート型で小さい物や、墓石の代わりにシンボルツリーを植える樹木葬、屋内に骨壺のままご遺骨を収蔵する納骨堂の場合、従来に比べて墓石代の部分がかなり低く抑えられます。
また、永代供養つきのお墓では、管理料が不要なところもありますので、ご予算や後継者の有無によって選ぶといいでしょう。
お墓の継承者の有無
昔ながらの日本のお墓は、明治時代の家制度にもとづく考え方を基本とし、長男とその家族が代々受け継いで維持管理するものとされてきました。離婚や死別で本家に戻ってきたり、生涯独身であったりする場合を除いて、長男以外の兄弟は分家して新しい代々墓をつくり、姉妹は嫁ぎ先のお墓に入ります。
しかし、少子高齢化や核家族化が進むにつれ、継承者がいることを前提としたお墓の在り方は、前時代的なものになりつつあります。ニーズの変化を受けて、永代供養墓や樹木葬といった継承者がいなくても購入できるお墓が数多く生まれており、継承者の有無はお墓選びの大切なポイントのひとつだといえるでしょう。
継承してくれる子供や孫はいるものの、「負担をかけたくない」という思いから継承を前提としないお墓を選ぶ方も増えています。
お墓に求めるもの
お墓に何を求めるかは、人によって様々です。人生の岐路に立たされたとき、うれしい報告があるとき、お墓参りをしてご先祖様や大切な故人に話しかけることで気持ちを整理している方もいます。そのような方にとって、お墓は単なるご遺骨の埋蔵場所ではなく、心の拠り所であり、一般墓のようにかたちとしてしっかり存在していることを重視する傾向があります。
一方、こまめにお墓参りをしたくても、遠方だったり体が不自由だったりしてなかなか足を運べない方は、お墓のかたちより管理の手間がかからないこと、天候に左右されずにお参りできることのほうが重要かもしれません。
「伝統を壊したくない」、「いつでも手を合わせられるようなかたちをしっかり残したい」、「維持管理をしっかり代行してほしい」など、お墓に求めるものを明確にしてからお墓選びをスタートしましょう。